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デジタル教科書における教育効果

文部科学省による新学習指導要領(令和2・3・4年改訂)に関連して、学校教育ではアクティブラーニング・ディープラーニング・ICT教育の活用が推進されています。これらは、グローバルな情報社会で生き抜き、活躍できる人材を育成するため、「主体的で対話的な深い学び」を習得することを目的としています。2020年(令和2年)に向けては、小学校からの英語教育やプログラミング教育の導入も進んでいますね。
こうした教育の動きを背景に、教材のデジタル化、いわゆるデジタル教科書の活用も推進されています。長きにわたって使われてきた紙の教科書に代わり、デジタル教科書を活用することで生まれるメリットや教育効果とは、どのようなところにあるのでしょうか。

2020年4月20日

文部科学省による新学習指導要領(令和2・3・4年改訂)に関連して、学校教育ではアクティブラーニング・ICT教育の活用が推進されています。これらは、グローバルな情報社会で生き抜き、活躍できる人材を育成するため、「主体的で対話的な深い学び」を習得することを目的としています。2020年(令和2年)に向けては、小学校からの英語教育やプログラミング教育の導入も進んでいますね。
こうした教育の動きを背景に、教材のデジタル化、いわゆるデジタル教科書の活用も推進されています。長きにわたって使われてきた紙の教科書に代わり、デジタル教科書を活用することで生まれるメリットや教育効果とは、どのようなところにあるのでしょうか。

デジタル教科書とは?


まずは、デジタル教科書の定義を改めて知っておきましょう。
小中学生のデジタル教科書所持の普及活動を行っている「一般社団法人デジタル教科書教材協議会」によると、デジタル教科書とは“デジタル機器や情報端末向けの教材のうち、既存の教科書の内容と、それを閲覧するためのソフトウェアに加え、編集移動、追加、削除などの基本機能を備えるものを指します。”(一般社団法人デジタル教科書教材協議会「デジタル教科書教材とは」より引用)とあります。デジタル教科書の在り方としては、教員の場合は電子黒板などに提示し、学習者である子どもたちに指導する指導者用デジタル教科書、子どもたちの場合は個々に配布された情報端末に表示し、学習する学習者用デジタル教科書、としています。特に子どもたちにとっては、デジタル教科書は単に紙の教科書の内容をそのままデジタルに変換しただけのものでなく、インターネットの活用や、先生と生徒あるいは生徒同士の双方向型授業を実現するツールとして存在するもの、と役割り付けています。

デジタル教科書のメリットと期待される効果

では、デジタル教科書を導入することでどのようなメリットや効果が考えられるのでしょうか。
まず前提として、デジタル教科書には主に以下のような機能が備わっています。

・画面を大きく拡大できる
・音声を再生できる
・書き込みができる
・保存ができる
・動画やアニメーションが見られる
・作画や描画ができる
・正答を比較できる

これら機能を活用することで、さまざまなメリットや効果が期待できるといわれています。それぞれ見ていきましょう。

■メリット
・大事な箇所の拡大表示、マーキング、音声での読み上げなどでサポートできるため、学習障害や視覚障害、聴覚障害のある児童にも有効。
・生徒の荷物のほとんどを占める教科書やノート、資料がタブレット1台に収まるため、荷物負担が軽くなる。
・生徒の学習の進み具合や理解度、得意不得意、成果などがデータで蓄積されるため、先生は個々に見合った学習プログラムを作成することができる。また、授業を効率的に進めることができる。


■効果
・タブレット端末を能動的に操作したり、何度もを繰り返しての学習が可能になるため、生徒が自分のペースで“わかるまで”学習できる。
・動画や立体図を見たり動かしたりすることで生徒が学習に意欲を持ち、授業内容を理解しやすくなる。
・従来の「情報伝達型」の授業から、生徒が主体で学び、先生がサポートする「双方向型」の授業が可能になる。
・音声機能を使っての発音や聞き取り、将来的にAIとの会話ができるようになれば、英語などの語学力向上に役立つ。

デジタル教科書をしっかり活用するためには?

デジタル教科書の導入を検討している先生方の中には、果たして本当に授業で活用できるだろうかと不安を抱える方も少なくありません。デジタル教科書を効果的に活用するためには、紙の教科書では叶えられない機能や利点をよく知り、従来の授業にプラスアルファで活かしてみることがポイントではないでしょうか。たとえば、文字や図に対して拡大機能や付せん機能を駆使し、視覚に訴える。動画や音声を見せる・聞かせることでイメージをふくらませる。図形や統計グラフを動かす。電子黒板を上手に併用する……などです。
現在、導入コストの問題や学習者の視力低下問題、機器の不具合やトラブルへの対応問題など、全国的なデジタル教科書の本格導入に向けては課題がまだあります。しかし近年では、これら問題を解決するための調査や対策が講じられているのも事実です。デジタル教科書含むICT環境の整備が進むことで、情報やデジタル技術を使いこなす子どもたちが増え、情報社会に主体的に対応できる力を備えた人材の育成につながればいいですね。