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デジタル教科書とは。その必要性と課題

2019年、デジタル教科書使用を認可。2020年度より本格普及へ
 
2018年5月25日、タブレット端末などで利用できるデジタル教科書を正式な教科書と位置づける改正学校教育法が、国会で可決・成立しました。
これは文部科学省が、小学校で「新学習指導要領」が全面実施される2020年度以降にデジタル教科書を本格的に普及させたいという考えから。その理由は新学習指導要領に推奨されているアクティブラーニング・ICT教育(Information and Communication Technology :パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法)などの活用推進。「教育の情報化」に対応し「主体的・対話的で深い学び」を習得することを目的にしているためです。加えて、義務教育からデジタル教育、プログラミング的思考の教育環境の整備も進む中において、教材のデジタル化も同時に進められているからです。

2019年9月1日

2019年、デジタル教科書使用を認可。2020年度より本格普及へ

2018年5月25日、タブレット端末などで利用できるデジタル教科書を正式な教科書と位置づける改正学校教育法が、国会で可決・成立しました。
これは文部科学省が、小学校で「新学習指導要領」が全面実施される2020年度以降にデジタル教科書を本格的に普及させたいという考えから。その理由は新学習指導要領に推奨されているアクティブラーニング・ICT教育(Information and Communication Technology :パソコンやタブレット端末、インターネットなどの情報通信技術を活用した教育手法)などの活用推進。「教育の情報化」に対応し「主体的・対話的で深い学び」を習得することを目的にしているためです。加えて、義務教育からデジタル教育、プログラミング的思考の教育環境の整備も進む中において、教材のデジタル化も同時に進められているからです。

デジタル教科書は、いわば電子書籍の教科書版

デジタル教科書とは文字通り、デジタル機器や情報端末向けに作られた教材です。これまでは授業で紙の教科書を使用しなければならなかったため、デジタル教科書は副教材扱いとなっていましたが、改正学校教育法の改正後は、引き続き紙の教科書が給付されるもののデジタル教科書と一緒に使用することが想定されています。
デジタル教科書の内容は基本的に、これまでの紙に印刷された教科書のデジタル版というイメージですが、さまざまなデジタル技術が活用され、単にタブレットなどのデジタル端末で読める以外に、教科書の編集や書き込み、インターネットへの接続ができます。これにより、文字、音声、映像、各種データを通じて知識を深めながら学習できるうえ、子どもたちが各々疑問に思う点をインターネットでより詳しく調べることができるなど、これまでの教科書にはない深い理解を促進する使い方ができるようになると期待されています。
なおデジタル教科書は、教師が大型提示装置を用いて生徒に提示して指導するための「指導者用」と、子どもたちが個々のパソコンやタブレット端末で学習するための「学習者用」に大別されています。

デジタル教科書にはさまざまな特性がある

デジタル教科書の導入が進めば、教育現場やそもそもの授業の在り方にも、大きな変化が訪れる可能性があります。今、主体となっている教師から生徒への一方通行的な授業のやり方から、子どもたちが主体的に学び、教師がサポートする双方向型の授業方法に変わって行くことが期待できます。

さらに、具体的にはビデオ会議機能を使って、遠隔地や海外の学校の生徒や教員の顔を見ながらやり取りを行えるなど、授業内容の幅が広がります。また画像や動画を活用した分かりやすい授業を行うことができ、子どもたちの興味・関心を高め学習へのやる気が高まりますし、テキストによる文字情報だけでは伝えにくい内容でも、画像や動画などを使って視覚や聴覚に訴えかける情報によって伝えることができるので、楽しみながら効率的な学習を進めることができます。

加えて、教師サイドも、板書時間やプリントを用意する時間などを削減することができるため、効率的な授業の実施ができるようになります。さらに情報の利活用が楽にできる、インターネットで情報を早く入手できることで、作業の時間を短縮することが可能になります。

学習障害、視覚障害のある子どもたちに対しては、紙の教科書に変えて全ての教科、デジタル教科書の使用が認められました。文字の拡大やテキスト色の変更、音声での読み上げなど、従来の教科書では不可能だったことができるようになり、学習の促進が図れるだけでなく、より一層の理解を深めることができるようになります。

もう一つ、学校で使う教科書とノートは、全てを通学の際に持って歩くとかなりの重量があるため、子どもの体に負担となるケースもあります。それもデジタル教科書にすることで、タブレット端末一台に全教科書が収まり、持ち歩くのも楽になり、子どもたちの体への負担が軽減できることになります。

富士ソフトでは、デジタル教科書教材の利用・製作・配布・配信をトータルにサポートするサービス基盤『みらいスクールプラットフォーム』を提供しています。
当社独自技術により、端末を選ばず軽快に動作するデジタル教科書教材を、簡単に作成することができ、さらにあらゆる学校環境に合わせて導入することができます。
これらは、『令和版デジタル教科書教材をトータルサポート!みらいスクールプラットフォーム』のページで詳しくご紹介しています。
https://www.mirai-school.jp/platform/

実際の現場では、さまざまな効果が見られる

ある小学校では、国語の授業でデジタル教科書を使用。物語の主人公の心情変化を読み取る学習では、変化の根拠となる場面や主人公の様子にマーカー機能を使って印をつけ、タブレット内のソフトを使ってまとめるなどしています。それを子どもたちが周囲に結果を見せ、最後は何人かの画面を、教室の電子黒板に映し出して議論をします。結果、「子ども同士が話し合う時間が多く取れ、授業が充実する」とのこと。それだけでなく、手を挙げて発言することが苦手な子どもが、自分の意見を周囲と共有しやすくなるなどの効果も。

さらに「何度でも簡単に修正できる」「作業に時間がかからない」「自分の書いたものが保存でき、すぐに出せるからいい」と子どもたちからも評価を得ています。

視覚障害のある子どもたちには、画面の拡大機能、音声読み上げ機能を活用して理解を促進するサポートができます。また、発達障害のある子どもには、音声読み上げ機能、文字の大きさ、背景色、テキストの色、行間・文字間隔の変更機能の活用するなどによって、よりスムーズな学習ができるなどの効果も見られるようになっています。

『みらいスクールプラットフォーム』には、教科書教材会社向けの「教科書教材作成ツール(オーサリングツール)」があります。教科書・教材の紙面データ(画像ファイル)と素材データ(動画ファイル、音声ファイル、既存教材アプリ(HTML)等)を読み込んで、デジタル教科書教材を作成するツールが備わっています。学習障害、視覚障害のある子ども向けに「学習者支援画面設定」を行うこともできます。

気になった方は、デジタル教科書教材の作成から利用まで幅広くサポートしている『みらいスクールプラットフォーム』ページを是非、チェックしてみてください。
https://www.mirai-school.jp/platform/

デジタル教科書導入の個人差、導入費用の問題をクリアするのが課題

デジタル教科書の導入には多くの利点がありますが、指導する教師サイドの理解と、それぞれの子どもの能力差が心配されます。学習の仕組みへの理解が早く、能動的に学習できる子どもに対してはプラスに働くでしょうが、逆のタイプの子どもに対してどのように学習を促すかは、教師も子どもたちにも大きな課題となるでしょう。
次いで環境整備も重要です。デジタル教科書を使うためには「一人一台のタブレット端末」が必要になります。しかし紙の教科書が無償であるのに対して、端末をクラスの全員が使えるように整備するためには、自治体の予算が必要になります。自治体によっては、予算を設けるのが難しいところもあるため、普及には地域差が出る可能性があります。
また父兄への負担も考えられるため、導入の費用をどうするかについては大きな課題になっています。
もう一つは、子どもたちの体への影響です。スマホやパソコンからブルーライトが放出されていることは周知の事実で、タブレット端末も同様です。このような端末をずっと見続けることで、視力の低下も懸念されます。

今後は自治体のデジタル教科書活用などへの取り組みを注視しつつ、子どもたちへの体の影響にも注意を払っていく必要があるでしょう。