ICT教育における文部科学省の役割と取り組み

10年毎の改訂とされる文部科学省の学習指導要領。東京オリンピックの開催と重なる2020年度には、小学校より新しい学習指導要領の全面実施(中学:2021年度,高校:2022年度より)となりますが、この度の改訂においては、ICT教育が教育改策推進の基盤のひとつとして据えられています。

◆新学習指導要領の方向性

まず、新学習指導要領の方向性について確認してみます。「自立」「協働」「創造」と言う現行版の継承をしながらも、未来の創り手となるための資質と能力の育成への3本柱として、学びを個々の人生や社会に生かし、生きて働くための知識や技能を習得すると共に、未知の状況にも対応できる思考・判断・表現力の育成を掲げた上で、カリキュラム・マネジメントの実現や、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの学習過程の改善がポイントとされています。

ICT教育に関しては、総則にて、学習の基盤となる資質・能力としての「言語能力」と同列にて「情報活用能力」が位置付けられ、コンピューターや通信環境を整備してその学習活動への充実に配慮するよう明記され、大きく前進しています。

◆ますます期待が高まる「教育の情報化」と「プログラミング教育」

ここで、重要度が増した教育の情報化について内容を見ていきます。目標として3つの側面「情報教育」「教科指導におけるICT活用」「校務の情報化」が掲げられ、このうち「情報教育」においては、基本的な操作、文字入力や情報の収集・整理・発信を例とする「情報活用の実践力」、プログラミングを例とする「情報の科学的な理解」、情報モラルの学習を例とする「情報社会に参画する態度」がその内訳とされています。

プログラミング学習は、昨今、注目のひとつとなっていますが、学習指導要領の各教科学習においては「プログラミング的思考の育成」とされている点がその理由かと考えます。中学校では、技術・家庭科でのプログラミングや情報セキュリティへの内容のさらなる充実、高校では「情報Ⅰ」を新設の上、データベースの基礎についてまで学ぶ中で、小学校のそれは、小5の正多角形の作図や小6の電気の性質や働きでの例などがあげられており、新学習指導要領に準拠した新しい教科書においてはどのように変わるのか、興味が持たれるところです。

◆文部科学省が提唱する学校のICT環境整備

以上のように、もはやICT機器無しでは成り立たない状況での普及推進については、閣議決定「第3期教育振興基本計画」(平成30年6月15日付け)を受け「第3期教育振興基本計画を踏まえた,新学習指導要領実施に向けての学校のICT環境整備の推進について(通知)」(平成30年7月12日付け)(文部科学省生涯学習政策局情報教育課)がされていますので、その内容にもふれておきます。

従来「電子黒板」と呼ばれていたものは「大型提示装置」と名称が変わり(スペック変更)、教育用コンピューターは、指導者用と学習者用にその役割りを明確化された上で、授業担任教員にひとり1台、3クラスに対して1クラス分と、授業展開に応じ実質ひとり1台となるような目安とされています(「全国の学校(普通教室)におけるICT環境整備のステップ」での Stage3)。学習者用コンピューターには予備機の配備も考慮され、充電保管庫や学校毎に1台とされる学習用サーバーが加わった点も大きな進展で、いよいよ実用に向け不足の無い内容となっています。

これらの整備に必要となる財源については「環境整備5か年計画(2018~2022年度)」に基づき、単年度1,805億円の地方財政措置が既に講じられ、自治体の対応が待たれるばかりです。

しかしながら、ICT教育は決してこれから始まるものではなく、文部科学省の実証事業としても学びのイノベーションをはじめ、既に多くの試行や検証がおこなわれていますが、これらの知見を生かす環境がなかなか普及に至らないという面がこれまでは見られました。そこにはいくつかの理由が考えられるのですが、いざ導入されてもICT機器の扱いが難しく手軽で便利なツールにはなり得なかったということもそのひとつでした。

富士ソフトではその解決への一端として、普及が進む大型提示装置に着目し、授業シーンでの活用目的を充足しながらも家電製品同様の扱いを可能とする「みらいスクールステーション」を製品化し、既に広くご愛用をいただいております。このように、簡単便利なハードウェアを組み入れることで無理なく授業にICTを取り入れていく方策も有効なのではと考えるところです。

◆まとめ

激動の世においても向こう10年を見据え、教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準への定めとされるのが学習指導要領です。
「2011年に小学生になった子供の65%は、将来、現在存在していない職業に就くと予想される。(キャシー・デビッドソン教授:ニューヨーク市立大学)」

「今後10年から20年の間に現在アメリカにある職業の47%がコンピュータに取って代わられると予想される。(マイケル・A・オズボーン准教授:オックスフォード大学)」
急激な人口減少と少子高齢化、第4次産業革命の只中にいる日本においては、ICT機器を電卓や電子辞書のように普通に活用する力が、今後も一層初中等教育にも求められているのだと思います。

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